アロマテラピーは、精油を使って不調を改善する自然療法としてとくにフランスでは多くの人の健康に貢献しています。
学んだことがある人ならわかると思いますが、精油成分の「薬理効果」がいろいろな症状の改善に寄与しているんですよね。
アロマ講師として悩んでしまうのが「精油の効能についてどれだけ言っていいの?」ということだと思います。
薬機法などの法規もあるので、効能を喋ってはいけないと思っている方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、アロマテラピーのレッスンにおいて精油の効能をどのように表現するべきかについて考えてみましょう。
私自身、薬機法については素人です。
もしこのブログの表記や解釈に誤りがありましたら、ご指摘いただけますと幸いです。
まず関係すると思われる主な法規は3つ!
①薬機法
②景品表示法
③ステマ規制(←2023年10月に施行されました!)
①薬機法
薬機法とは、国の厳しい基準をクリアして認められたコスメ(化粧品)とお薬(医薬品、医薬部外品)がお肌やからだに効果があるものだということを保証するために、その他のもの(食品や雑貨など)と差別化させる目的がある法律と解釈できます。
「コスメをお薬のように表現する」「雑貨をコスメのように表現する」「健康食品をお薬のように表現する」のは薬機法で検討する必要があります
精油がまるでコスメやお薬のようにお肌やからだの症状を治すというような表現はNGになりますよね。
ただし
薬機法で特に重要なのが「製造・表示・販売・流通・広告」について定めた法律であるという点。
薬機法の第66条から69条が薬機法違反について書かれているのですが、どれも
・「誇大広告の禁止」
・「特定疾病用の医薬品及び再生医療等の広告の制限」
・「承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止」
とあります。
「広告」を禁止する法律なんですね。
だから「売らない」のであれば、薬機法の制約は特に受けないという解釈でいいと思います。
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というのは「情報」なのでいいのですが
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は「広告」なのでNGとなってしまうのです。
わかりますでしょうか?
もし「情報」まで規制対象になってしまうと、世の中に出ているアロマテラピーの書籍も、そもそもアロマテラピーのレッスンも、協会も、存在が危ぶまれているでしょう。
規制対象であるのに危険を冒してまで本を出したり協会を運営しませんよね?
情報を規制するということは、さらに極論を言えば「夜、ラベンダー精油でマッサージするとよく眠れるよね」「ペパーミントのハーブティでお腹の調子がよくなった」と言っただけでNGとなってしまいます。
これは逆に憲法の「表現の自由」の侵害にもなりませんか。
日本国憲法第21条
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%A8%E7%8F%BE%E3%81%AE%E8%87%AA%E7%94%B1
第1項
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
第2項
検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
ただし、レッスンで効能を紹介した精油を直接売ったり、間接的に販売につなげるのはNGになります。
②景品表示法
景品表示法とは、商品の品質や内容、価格を偽って表示したり、豪華な景品を提供して顧客を誘導することを禁止し、消費者の利益を確保するための法律。
こちらも商品の表現にウソがあって、消費者を騙してはいけませんよ、ということなので「広告」の規制ですよね。
最近できた新しい規制も見てみましょう。
③ステマ規制(ステルスマーケティングに関する法規制)
これは消費者に宣伝であることを隠して行う宣伝行為を規制する法律です(消費者庁によると「景品表示法」の中に含まれる解釈のようで、これに違反すると景品表示法違反となるとのこと)。
有名人のSNS投稿で「愛用♡」とオススメされていたけど、実はそのブランドから「商品を宣伝してください」と広告の報酬をもらっていて使ったことすらなかった、なんていうのが問題になりましたよね。
その後「これはPRです」などと表示する人が増えましたが、2023年10月より正式に消費者庁が「規制」することになったのです!
つまるところ、基本的には薬機法も景品表示法もステマ規制も「広告」を取り締まるものなので、精油の効能単体では特に問題にはなりません。
私の薬機法経験を…
以前アロマテラピーのiPhoneのアプリを開発しました。(サービスは終了しています)
フランスでは精油の効能や症状別レシピの提示をしているアプリもたくさんありますし、そういった書籍も多いのでとくに問題はありませんでした。
でも、日本で展開するときに念のため薬機法チェックをしていただいたんです。
そのとき、アプリ内の表現の仕方を見ていただきました。
「これはNGです」「これはOKです」と赤ペンで添削していただけると思っていたのですが、違ったのです。
これは業者さんによってスタイルだったのかもしれませんし、そもそも薬機法チェックがこういうものなのかもしれません。
基本的には「これはのちのち問題になる表現かもしれません」「ここと矛盾しますが、どう考えられますか?」というご指摘で、「これはNG!」と断言していただいたものはひとつもなかったのです。
ご指摘いただいた箇所は「私が考えて」そのままにしたり、修正したりして日本語版をリリースいたしました。
なので、「表現方法」が言い過ぎと解釈される箇所だけ「のちのち問題になるかもしれません」というご指摘だったのですね。
また、最近、精油を含む商品を販売することがありました。
そのときは「商品を販売」するので、表現法にはとても気を使いました。
薬局メーカーとのコラボ商品のときは先方が慣れてらっしゃったので、最近の事例なども教えていただき、とても勉強になりました。
商品を販売している人は、表現方法には気をつけたほうがいいと思いますよ!
あまり怖がりすぎるのもどうかと…
法律などの法規はそもそも、個々の細かい事例まであれこれOKかNGかと具体的に言及しているものではありません。(ネットで原文が読めますので、一度読んでみてください)
すごくシンプルな言葉で書かれているので、それぞれの案件は、その法規とともに、これまでの事例やいろいろな事情と照らし合わせて、「違反」かどうかを専門家が判断しています。
例えば弁護士さんなどの薬機法のブログがたくさんありますが、読んでみると結構「こう解釈されると思います」など個人(その会社)の判断として書かれています。「絶対法律違反!」などと断言しているものはほぼありません。
殺人だって、どの被告も一律死刑になるわけではなく、量刑はその事件の背景によって違いますよね?
殺人は極端な例ですが、アロマ活動に関して「これだめ」「あれだめ」と判断しているのは、実は私たちの「思い込み」であることが多いんです。
私も生徒さんからご質問をよくいただきます。
「これってPL法があるからダメですよね?」
「薬機法的にNGですか?」
私は「あなたはどう思いますか?」とまず聞きたいのです。
おそらく、日本のさまざまな協会(認定講座)がアロマに関する法規についての授業をしていると思います。
でもね、すべての協会が同じ法規を取り上げていないんですよ!
〇〇協会はA B Cの法規について取り上げ、△△協会はBとDの法規について取り上げている、といった具合。
つまり「絶対」ではないんです。(自治体によるものもありますし)
それはいいことなのですが、その「ちょっとグレー」なことがあたかも違反であるかのように思い込んでいます。
で、それをやっている人を「違反している人」と思い込み、自分の行動を勝手に制限しちゃうんですね。
ここで私がお伝えしたいことは
①そもそもの法律・法規について、きちんと読み、調べ、自分なりの考えを持つ
②他人の行動を監視しない(「自分がやりたくないならやらない」ならそれでOK。他人を「違反している人」と勝手にジャッジしない。ジャッジは専門家に任せればいいのです。それとも正義感でしかるべき機関に通報してその方の活動をやめさせるのが目的でしょうか?)
③自分はどうしたいかで行動する(「法規を拡大解釈しすぎて自分の行動を狭めていないか?」「それは自分が望んでやっていることなのか?」を考える)
ちょっと話がずれましたが、アロマ講師がレッスン中に効能を説明するだけなら、情報なので何も問題はないと私は考えます。
効能を説明したうえで精油の販売に結びつけてしまうと、いろいろな違反の可能性があるのでやらない方がいいと思います。
ただし、この解釈は「私がそう解釈している」ということなので、その法規を担当している専門家がどのように判断するかはわかりません。
最終的にはご自身の判断でやるのかやらないのか、を決めていただければと思います。