こんにちは。フランス在住アロマコローグのTomomiです。
今日はちょっぴりマニアックな部類に入るのでは?という香水をご紹介します。
個人的に、とっても興味があったので調べさせていただきました!
というのも、ものすごく印象に残っているからなんです。
小さい頃から母のアクセサリーや香水が入っている棚に、この香水がありました。
香水瓶が美しく、とっても特徴でしたし、この香りを嗅ぐと80年代の母の姿が思い出されます。
その香水とはNina Ricci(ニナ・リッチ)の「L’Air du Tempsレール・デュ・タン」。
「時の空気」とか「時代の空気」という意味です。
ニナ・リッチ : 優美なメゾンの香り
1932年にイタリア人デザイナー、マリア・ニナ・リッチとその息子のロベールがフランス・パリで創業したのが、今も続いているファッションブランドNina Ricci。
これが70年以上たった今でも、ニナ・リッチを代表する香水として愛されているんです。すごいですよね。
ニナリッチのお洋服、どんなイメージがありますか?
マリアのつくりあげた世界観は、洗練されたロマンティックでフェミニンなデザイン。
優美なオートクチュールの雰囲気にぴったりの優雅な香り、それでいて情熱的で戦後の希望も兼ね備えた香りが、メゾンを代表する香りとして求められました。
調香師はフランシス・ファブロン
こんなに有名な香水を作った調香師ですが、私の勉強不足ではありますが、フランシス・ファブロンを存じ上げませんでした!(歴史的調香師の中でもあまり目立っておりません)
L’Air du Tempsの誕生が1948年ですから、当時は調香師の名前が大きく出ることはなかったんですよね。
きっと彼は調香師の仕事に打ち込むあまり、プライベートなことも、調香についても、外部に話すタイプの人ではなかったのかもしれません。
調べてみると、これもあれも彼の作品!というものがありました。
まず、オードリー・ヘップバーン個人のために作られたというジバンシーの「L’interdit」がセンセーショナルなデビュー作となりました。
その後の「Monsieur de Givenchy」、バレンシアガの「Le Dix」も彼の作品です。
決して無名の調香師ではないのです!
平和と愛を象徴する香り
平和と愛のシンボルといったらなんでしょうか?
「鳩」と答える方も多いのでは?
ラリックによってデザインされ、ねじれた卵形のクリスタルボトルの上に2匹の鳩が抱き合っています。
ニナ・リッチは戦前にスタートしたメゾンですが、すぐに第二次大戦となり、会社経営は難航しました。
戦後やっと自由と幸せを手にして、ブランドを再スタートしたのです。
そのタイミングで作られたこの香水には「平和への願い」「自由への喜び」「永遠の若さ」といったメッセージが込められているんですね。
どんな香りがするの?
戦後の新しい時代を突き進む女性の柔らかさと強さがテーマです。
「愛する女性の肩で嗅ぎたいと思う香水を想像しました…花のような、スパイシーな香りです。」
フランシス・ファブロン、調香師
トップには柑橘とカーネーションとクチナシが独特の個性を与え、ミドルノートはジャスミン、ローズの繊細さと洗練さを備えた贅沢な花の香り。
ベースノートを包み込むアイリスや白檀も暖かく官能的です。
パウダリーで、クリーミーでムスキー。
そんな側面を持ちつつスパイシーでリッチな花の香りが全体をまとめているのです。
戦後、これからの未来にワクワクしかなかった、そんな希望と喜びに溢れた新時代の女性のための香水。
そんな戦後の女性にふさわしいフレグランスとして誕生しましたが、70年たった今でも時代を超えて愛されているのは、多くの人が認める彼の実力ゆえです。
ヨーロッパだけでなく大西洋を越えても大きな成功を収め、フェイ・ダナウェイやジェーン・フォンダなどの多くのハリウッドスターが纏い、映画「羊たちの沈黙」ではジョディ・フォスターのキャラクターも使っていました。
いかがですか?ちょっと嗅いでみたい!と思われましたか?
多くの香水がロングセラーになるどころか数年で姿を消してしまいます。
私は母が使っていたという個人的な香りの記憶がありましたが、「古典香水」のひとつとしてぜひとも香りを嗅いでいただけたら嬉しいです♪