こんにちは。フランス在住アロマトローグ・自然療法士のTomomiです。
【アロマ旅2023】と5回シリーズで高知と屋久島についてお話ししてきました。
今度は【アートな旅2023】です。しばしお付き合いくださいー!
今日の舞台は大阪
高知と屋久島の間に大阪に立ち寄りました。(屋久島への直行便は福岡・鹿児島・大阪からしか出ていなかったのでちょうどいいと思って)
タイトルで気がついた人はかなりのアート通かもしれません。
昔から行きたいと思いつつ、大阪に何度も行っているのについつい後回しにしていた場所です。
きっかけは去年の大阪。1990年に建築計画があったにもかかわらずオープンが去年だったという中之島美術館に行ったときでした。
そのときは、美大時代に「大阪に新しい美術館ができるんだなー」と思っていたのが、30年もかかって今オープン!という懐かしさ・新しさで、とにかくどんな展示でもいいから美術館に行きたい!と思って訪問したのでした。
そのときやっていたのが「岡本太郎」展。
現代美術マニアなら(そうじゃなくても?)岡本太郎のことは知っていますよね。
大きな目をあけて「芸術は爆発だ!」と叫ぶおじさん、のインパクトが強すぎて、私の中ではイロモノアーティストとしての印象しかなかったんです(失礼💦)
あなたもそうではありませんか?
中之島美術館での個展でその偏見が一気に覆されました!
明治時代から続く「アーティストになるための王道」中の王道、東京藝大→フランス留学というキャリアでスタートする太郎。
前衛的なアートが好きな私からしたら「え、面白くない…」という意外さ。
(もっとも日本の「前衛芸術」のアーティストたちは岡本太郎よりジェネレーションが若いので、当時はまだまだ藝大→フランスが当たり前だったんですよね)
アーティストとしてのキャリアのはじめは実直に流行りの絵画をなぞるのですが、だんだん岡本太郎らしい原色や有機的なフォルムが現れてくるんです。
そしてキャリア後半は、私たちが知っているテレビでの奇抜な発言に至ります。
その間のキャリアは私はほとんど知りませんでした。
昔、近鉄バッファローズの帽子を兄がかぶっていたのですが、あのデザインは岡本太郎のもの。
今見てもすごくオシャレな色使いとデザイン。
彼の当時の映像を見ると、奇抜なオジサンではなく、ものすごくインテリな紳士です。
昔はこんな気概のあるインテリが日本を支えていたんだなーと。
私はこれまで、アート界の異端児的なマス寄りの岡本太郎としか見ていませんでした。
でも、あの展示を見て、日本現代美術の系譜の中で、彼はもっと再評価されるべきだと気づいたんですよね。
いや、ただ、私が偏見を持っていただけとも言えますが(でも私の美大時代に学んだ現代日本美術ではあまり触れられてなかったと記憶しています)。
太陽の塔に行こう!
で、今回。先に太陽の塔を見て、いたく感動された友人からのお話を聞いて「行ってみたい!」と再熱したんです。
展覧会のチケットを予約していただき、万博記念公園にいざ出発!
万博公園駅はまさに1970年の大阪万博のパヴィリオンがひしめく会場へのアクセスとして作られた玄関口。
太陽の塔 お役立ち情報
▶︎アクセスは大阪モノレールの万博記念公園駅。
駅から中央自動車道の上を通って入場口に歩いて行きます。意外と距離がある!(時間に余裕を持って!)
▶︎太陽の塔の入場料は720円(大人)2023年11月現在。
ちょっと離れたところに万博に関する博物館EXPO’70 パビリオンの別館があり、こちらは500円。
前日までに時間予約をしないといけないのでご注意を!
▶︎オープン時間は公園自体が9:30-17:00で水曜日が定休、年末年始も休みだそうです。こちらもお気をつけて!
▶︎太陽の塔内は写真撮影禁止。
ですが、別途お金を払うと撮影できます。
お金を払うとスマホケースを渡され、そちらに入っているスマホでのみ撮影可。
日本ぽいなーと思ったのは
- 必ず「たすき掛け」をしなければならない
- 1回お金を払えば太陽の塔とEXPO’70 パビリオンで撮影ができるのですが、スマホケース(オレンジ色)は太陽の塔で返し、引換券でパヴィリオンのスマホケース(ブルー)にもう一度チェンジしなければならない(これを知らずにパヴィリオンで「これじゃダメです」と言われ、面倒なことに…)。
なぜ?どうしてこれじゃなくちゃダメなんだろうか?
このルールは外国から来た人にはわかりにくいと思うんだよなー(小声)。
圧巻!太陽の塔
フランスのスクールでは原子、分子の話から、細胞、原核生物、真核生物…という種の起源の話には触れました。
私の商売道具は自然です。
その道具がどんなものなのかを知らないと、本当の意味で使いこなせないと思っています。
高校生以来忘れかけていた生命の起源について、プロになる前にきちんと学べてよかった。
知っていましたかー?
生命を支えるエネルギーの象徴、未来に向かって伸びてゆく生命の力強さを表現しているのが内部の「生命の樹」。(上の写真は、中之島美術館での個展で展示してあったもの。下の写真は太陽の塔内での太郎直筆のコンセプト図)
単細胞生物から人類が誕生するまでを、下から順に
<原生類時代>、<三葉虫時代>、<魚類時代>、<両生類時代>、<爬虫類時代>、<哺乳類時代>
にわけて、その年代ごとに代表的な生物の模型を見せてくれるのです。
万博当時は「生命の樹」の枝に292体のオブジェが取り付けられており、一部は動いていたのだそうですよ!
自然とアートがここで繋がるというのが私にとってはサプライズでした。
太陽の塔は高さが70メートルあります。
万博当時は地下から入って、地上階の「生命の樹」のまわりを「胎内めぐり」のように音楽やナレーションを聞きながら鑑賞するという趣向になっていたそうです。
当時はエスカレーターで上って行ったようですが、今は螺旋階段で自分のペースで見ていくことができます。
ときおりスタッフの方がいらして、質問にいろいろ答えてくださり、楽しい鑑賞となりました。
これは、ホントに実物を見ていただきたい!
50年前に、岡本太郎という現代アーティストが構想した塔のフォルムや「生命の樹」というテーマ、生物のオブジェも度肝を抜かれます。
それが日本の経済成長を世界にアピールする万博のメインシンボルに選ばれたというのも、ただただすごい!
日本政府がこういう現代アーティストの巨大な作品を日本のシンボルとして許可した。懐の深さに感動です!
大きさ、素材、当時のテクノロジー、そして発想、すべてにおいて想像を遥かに超えるスゴイ日本を見ました。
EXPO’70 パビリオンも必見です!
さて、感動しまくりの太陽の塔を出て、EXPO’70 パビリオンにいきましょう。
こちらは、大阪万博のすべてがギュっと凝縮して理解できる展示となっています。
当時の出展施設であった鉄鋼館と、2023年にその隣に別館を増設。
大阪万博開催時に太陽の塔の上に設置されていた「黄金の顔」の展示や、映像で当時を体感できるゾーンが増えたことで、さらにみどころ満点です。
実はあの太陽の塔、万博の時には腕の部分から上しか外から見られなかったのをご存知ですか?
腕から下は鉄骨の建物(大屋根)で囲まれていました。(丹下健三による建築)
太陽の塔は両腕のあたりが出口となっていて、塔を囲むように作られていた空中庭園的な建物へ誘導されるようなしくみだったのです。
え?全貌が見られないって、建築上のエラー?
なーんて思ってしまいますが、どうやら最初からの思惑だったようですよ。
万博の入口はこれからどっちに向かおうという人でとても混雑しますよね。
それを回避するために【流れ】を作りたかった。
とりあえず前に進んで、太陽の塔で上に上がり腕から出て、丹下健三の世界一の大屋根を歩き地上から万博を見下ろす、そのエレベーターとしての役割を与えられたんですって。
この世界一の大屋根を生かしてやろう。そう思いながら、壮大な水平線構想の模型を見ていると、どうしてもこいつをボカン!と打ち破りたい衝動がむらむらわき起こる。優雅におさまっている大屋根の平面に、ベラボーなものを対決させる。屋根が30mなら、それを突き破ってのびる—70mの塔のイメージが、瞬間に心にひらめいた。
『「太陽の塔」新発見!』平野暁臣 青春出版社 2018年より(「万国博に賭けたもの」岡本太郎 『日本万国博 建築・造形』恒文社 1971年からの引用)
この文章がすべてを物語っていますね。(*太字は私がつけました)
今は大屋根は撤去されているので、堂々と70mの塔が公園の駅を降りたところから眺めることができます。
ちなみに数字で見る大阪万博や、当時の映像などで日本史上で一番ド派手な(?)万博の全貌を明らかにしてくれます。
驚きの数字、ちょっとご紹介しましょうか。
入場者数 6321万8770人
1日の最大入場者数 83万5832人
迷子 4万8139人、尋ね人 12万5778人
出産 1人(!)、結婚 55組
拾ったお金 48,924,577円(4800万円です!)
とにかくすごい規模の万博だったのですね。
アジア初かつ日本初の国際博覧会であり、当時、万博史上最大の規模を誇ったといいます。
77か国が参加し、終戦25周年を記念し、戦後の高度経済成長を成し遂げアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国となった日本の象徴的なイベントとして開催され大黒字に終わったそうですよ。
万博ってその国の経済発展のようすが手に取るようにわかる、とてもロマンのあるイベントだなーと思いました。
(下の写真は、太陽の塔の腕部分。当時はこのエスカレーターを通って大屋根に出ていたのです。未来を感じさせるデザインですよね?)
くしくも、再来年に予定されている大阪万博は、パヴィリオンの建築などで準備の遅れがニュースになっています。
1970年のスゴい日本の展覧会を目の当たりにして、2025年の万博も頑張って欲しいなと思いました!
大阪にいらっしゃるときは、ぜひ1度は太陽の塔まで足を伸ばしてくださいね♡
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