こんにちは。フランス在住アロマトローグ・自然療法士のTomomiです。
以前、私のメルマガでアンケートをとったときに
「アート方面に転身させるのはどのようなお気持ちからでしょう?」
というしつもんをいただきました。
今日はこのごしつもんに答えつつ、私の思いを綴ってみたいと思います。
アロマ講師として10年コミットしてきた私の突然の「アートもやるよ」宣言
【アロマをやめてアートに転身】ではなくて【アロマもやりつつアートもやるよ】ということなのですが、まあ、どちらにしても「なぜ?」と思いますよね?
直接のきっかけは「香り」を突き詰めていったときです。
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かいつまんで言うと、調香師は科学的(化学)側面とアート的側面がないと成立しない職業です。
フランスの調香師は非常にアーティスティックなんですよね。
私が学び実践しているフランス・アロマテラピーは、一にも二にもとにかく化学です。
私も学んだことのあるフランス・アロマの大御所ピエール・フランコムさんは「Aromathérapie scientifique」つまり、「科学的アロマテラピー」とご自身のアロマを命名しておられます。
すごく医療に近い。
むかーしの自然療法・植物療法・アロマテラピーが、西洋医学に取って代わられた歴史的事実を見れば、それらが科学的なのは当たり前です。
ただ、この科学的すぎるアロマテラピー、学んでいくうちに「だったらお薬でよくない?」と思うようになったんです。
「この成分が入っている精油を**という不調のときに摂取する」
というけど、この成分が入っているお薬を摂取した方が確実だし手っ取り早くない?
そこでちょっとモヤっとしたんです。
日本でもやたらとエビデンスを求められるけど…
アロマテラピーという業界は小さすぎて、製薬会社みたいに研究にお金をつぎ込めないのだから、エビデンスなんてほとんどないんですよ。
せいぜい製薬会社が、新薬の開発のために植物の成分をリサーチしている過程での実験結果くらいしか出てきません。
アロマテラピーを含む自然療法って、ヨーロッパの歴史や経験がよりどころになっているので、たかだか300年程度の「科学」が証明しきれていないだけじゃないの?と思うんです。
事実、成分分析でも検出できない微量の成分がありますし、科学的に効果がわかっている成分が入っていないのに、なんだかよくなった!という例はたくさんあります。
自然療法ってそういうものなんですよね。
私がとくにアロマテラピーが好きなのは、唯一香りがあるレメディだということ。
その香りが「どういうわけか」こころを落ち着けたり、やる気をだしてくれたり。
あなたも経験がありませんか?
今、脳神経の専門家がそのメカニズムを解明していますが、科学が証明してなくても、気分がよくなればそれはそれでいいですよね?
誤解していただきたくないのは、からだのことなのでエビデンスを求めるのは当然だと私も思っています。
でも精油でもハーブでもお薬でも、何を使っても健康になればそれでいいというのが私のモットー。
お医者さんに診てもらう必要もないくらいのよくある症状にアロマやハーブを使う場合は、エビデンスがあろうがなかろうがいいのでは?ということです。
私がお伝えしているフランス・アロマテラピーは病院に行くまでもない状況での使い方です。
しかるべく状況では自然療法に固執せず、必ずお医者さんに診てもらうように強くお伝えしています。
モヤモヤが晴れたのはアロマコロジー
エビデンスを求めすぎる傾向に疑問を持ち、植物本来の枠にはまらないパワーを再認識したころ、アロマコロジーにたどり着きました。
調香師養成学校のベテラン先生に教えていただいたのですが、彼女が語る香料業界の話が面白くて。
調香師になるためには化学は基本。
調香師になれるかなれないかはその人のアート性次第という世界観に魅了されました。
確かに、有名な調香師はみんな、世界を変えるほどのクリエーションを歴史に刻んでいます。
今活躍している調香師さんの本や発信を見ていると、生き様そのものがアーティストでした。
私は高校生のときから現代アートにはまり、渡仏直前までアート業界で活動していました。
アーティストの方ではなくて、アーティストのプロデュース側です。
だからこそ、たくさんのアーティストの生き様や、ものの考え方、生み出された作品を知っています。
あ、これだ。
と過去に親しんだアートと、今興味を持っているアロマや香りの点がつながったんです!
そりゃよかったね、でもTomomiの個人的な話でしょ。私に関係ないし
と思われますよね。わかります。
あるとき、日本のアロマ業界の方に
「Tomomiさんってフランスにいるからそうなんですか?それとももともとそうなんですか?」って聞かれたんです。
「そう」って言うのはおそらく、業界で常識となっていることでも「実は違うんじゃない?」と臆せず言ったり、他人のことを気にせず我が道を歩んでいる点だと思います。
このしつもん、びっくりしたんですね。
考えたこともなかった。
よーく考えてみると、渡仏前もアート系の環境だったので個性がなければいないも同然みたいな世界でした。
みんな個性豊か。
フランスに行っても発言しないならいないも同然で、フランス語ができないときは本当に辛かった。
発言しないと幽霊のように扱われます。
だからみんな自己主張しまくり。
そんな環境にいたので、ずっと「私はこう思います」「それは私は違うと思います」と主張してきました。
フランスだと意見の違いから友情が生まれるんですよ。
「私と違う意見だから、この人とは付き合うのをやめよう」とはならない。
そんな出来事から、ずーっとことあるごとに「一般的な日本人と、一部のアート系日本人&フランス人の違いはどこにあるのかな?」と考えてきました。
その答えが「アート」だったのです。
フランスではアートは生活に浸透しています。
それはいわゆる美術じゃなくても、小説でも映画でも音楽でもファッションでも。
流行に追随することを嫌います。
「私はこれが好き。なぜなら…」というのが日常会話。
例えば、嫌いな作品でも積極的に観に行きます。
- 実際見てみないとわからない
- 他の人との会話にはいれないのがイヤ
- 「私はこれは嫌いだった。なぜなら…」と言いたい
こんな理由です。
言えないと話が盛り上がらないんですね。
フランス人の日常は、リアルなコミュニケーションにあります。
違う意見を聞いて「あの人はそう思うんだ、なんでだろう?」と興味を持つ。
自分の意見を言わず「それはわからないんで」というのは、人との交流を放棄したも同じ。
そうやって、常にアートに触れて、自分の好みはなんなのかを知り、他人と意見交換をすることで、新しい世界が広がります。
自分の意見が人を刺激し、世界を広げ、世界を変えることを信じているのだと思います。
「私の意見を言ったって、変な目で見られるだけで何も変わらない」なんて、自分の価値を過小評価していません。
フランス人が自信に溢れ、生き生きと人生を楽しんでいるのは、アートのおかげ
そこに気づいたとき、日本の方が「私なんて」と卑下したり、自分の意見を言えなかったりするのは、もったいないなと思ったんです。
フランス人のような図々しいまでの自己主張は必要ないと思いますし、日本には日本のやりかたがあります。
でも、いつも他人の顔色を見て忖度して、言いたいことを言えずストレスを溜めている人、あなたのまわりにも多くないですか?
ということで、私ができることはアートかな、と。
自信がない、他人の顔色を伺ってしまうのは、自然療法やアロマで改善するのは難しい。
それよりも奇想天外なアート作品を知識に頼らない鑑賞をすることで「こんな発想が評価されているんだ」「こんな生き様があるんだ」と刺激を受けられると思ったのです。
それがスタート地点。
私自身、相当なブランクがありましたが、時間さえあればアート活動をしています。
おかげで、いろいろな作品からものすごい刺激を受けて、思考や行動がどんどん変化しています。
新しいアイデアも次から次へと湧き上がり、人と話すのも楽しく、歳をとるのが楽しみなんです。
日本人の66%が老後に不安があるという統計があります。
フランス人みたいなポジティブ・エイジングの思考法で、少しでも多くの方が「老後が楽しみ!」と言える世の中になって欲しいなと思っています。