こんにちは。フランス在住アロマトローグ・自然療法士のTomomiです。
10月から11月にかけて日本に1ヶ月滞在していました。更新が久しぶりになってしまってすみません!
今年の日本の秋はびっくりするくらいの暑さで、滞在中は紅葉があまり見られませんでした。
その後、急に寒くなって「秋」を感じないまま戻ってきました。
フランスはとっくに冬に突入していて、今年は「秋」をスルーしてしまった感じです。
今回の滞在、メインイベントは高知県の牧野植物園。
羽田から四国に向かう飛行機からの景色は、紅葉はなかったけれど、厳かな山々の息を飲むような美しい景色を楽しめました!
牧野植物園をめぐるツアーを開催したので、下見と当日の2日間、たーっぷり堪能してきましたよ。
日本でも人気のフィトテラピー。
植物療法といって、ハーブでからだの不調を改善するのが目的です。
私もフィトテラピーは一通り学んで、パリ教室でもハーブをお伝えしているのでとても馴染み深いものです。
だから、牧野植物園でどんなハーブが見られるんだろう?と企画段階からワクワクが止まらないっ!
あ、まずは牧野植物園についてお話ししますね
高知県・高知市の山上に位置するのが牧野植物園。
「牧野」と言う名前は、土佐が生んだ偉大な植物学者である「牧野富太郎」にちなんでいます。
NHKの朝ドラ『らんまん』の主人公と言ったらご存知の方も多いかな?
牧野富太郎ってどんな人?
彼は江戸から明治に移る激動の時代に生まれ、94歳で世を去るまで、植物を愛し、植物に愛される人生でした。
✔️ 日本固有の植物を発見した
✔️ 植物に学名をつけた
✔️ 植物の図鑑を作った
これが、彼がしたこと。え?それだけ?って思うかもしれません。
でも当時の日本は現代のように植物が科学的に分類されておらず、各地方で呼び方が異なり、「この植物はこの名前」という共通認識がなかったんですよね。
しかも、世界の植物図鑑には日本固有の植物は載っていません。
だから、日本中を北から南まで歩き回って、植物図鑑に載ってない新種を登録していくんです。
そうして牧野は植物図鑑を編纂していきます(小学校の図書館に牧野の図鑑、置いてありませんでしたか?)。
これらを一生のライフワークとした牧野は、日本の植物学の黎明期に多大な影響を及ぼし、日本の植物学の知見を世界レベルに引き上げた人物のひとりとして、とっても重要なのです。
牧野植物園のおすすめポイントは?
この植物園は牧野の死後、彼の偉業を称えて作られました。
なので、彼自身はこの植物園を見ていないのです。
NHKの朝ドラが決まったからなのか、近年大幅にリニューアルされて、とても素敵でおしゃれな 植物園なったそう。
休日は行列ができるほどに賑わっています。
実は私は日本の植物園には行ったことがなく、牧野植物園が初めてでした。
でもフランスの植物園と大きな違いはなかったです。
植物を分類してエリアごとに集め、温室があったり、ローズ園があったり。
パリ植物園と同じです。
植物園は「美術館・博物館」と一緒で展示・研究施設なので、世界に先駆けてできたイギリスやフランスの植物園をモデルにしているのでしょう。
もちろん、牧野は「日本固有の植物」の発掘をした人ですから、日本固有の植物が集められているのがフランスとの最大の違いです。
また、ここの植物園ではただ植物が植えられているだけではなくて、展示スペースがある建物がいくつかあります。
展示はたくさんの資料とともに牧野の一生や植物学を学べる、わかりやすくて優れた展示となっていました。
ここにきたら、展示をじっくり見て欲しい。とってもオススメです。
牧野植物園で見られる植物は?
先ほど書いたように、牧野植物園では牧野にゆかりのある植物(彼が発見したもの)や、高知や日本特有の植物がたくさん植えられています。
その数3000種に及ぶそうです。
フィトテラピーを体系的に学んだ私は、知っている植物がたくさんあると楽しみにしていました。
が、予想に反して、知っている植物がほとんどなかったのです!
やっぱりフィトテラピーはヨーロッパの植物療法なんだなーと実感しました。
では、日本の植物療法は?
そう、それは「漢方」なのです。
牧野植物園の端っこには「薬用植物区」というエリアがあります。
てっきりここで私が普段から使っているようなフィトテラピーの植物がみられるんだと思い込んでいたのですが、ここにあるのは「漢方」の植物。
ターメリックやベチバーなどはありましたが、使い方・効能がほとんどわからない植物ばかりでした。
学名に救われた!
ちなみに「全然知らない」植物を知るてがかりになったのが、学名。
学名がいかに重要かを実感している人は日本では少ないかもしれません。
でも、学名というのは世界共通のコトバなんですね。
だから、それぞれの国での植物名を知らなくても、その言葉を読めなくても、どこの国の人とも話ができる、優れものなんです。
例えば、レモンという植物は、日本語ではレモン(檸檬)、英語ではLemon、フランス語ではCitronです。
アラビア語ではلَيْمُونなんですって。
カタカナや漢字が読めなかったり、アラビア語が読めなくてもCitrus limonという学名があれば、世界中の人が「ああ、あのレモンね」とわかるわけです。
牧野植物園では植物のキャプションには学名と日本語(ときに和名)が書いてあります。
私はフランスで植物学を学んでいるので、和名を知りません。
だから何の植物なのかわからないんです!
でも、学名のおかげで「**だ!」とか「**の親戚かな?」とわかるのです。
例えば温室にあったナツメグの植物。
私たちがお料理で使うナツメグの種子以外を見たことがなければ、その植物が「ナツメグ」であることを気付けません。
そこでキャプションを見るのですが「ニクヅク」って書いてるんですよね。
これは和名かな。でも、Myristica fragransとあれば、「ナツメグだー!」とわかるのです。
学名を知っていることによって、よりたくさんの植物を把握することができました!
学名表示に救われましたよ!
日本各地に生息する植物に学名をつけ、世界的に認めてもらう作業をしていたのが牧野富太郎です。
彼のおかげで、日本名をしらない私でも牧野植物園で大いに楽しむことができました♡
外国人でも学名を知っていれば、すぐに何の植物かわかるんですよね。
アロマやフィトでお馴染みの植だってあるよ
牧野植物園には「ふむふむ広場」という場所があって、ここに芳香植物が植えられています。
しかも、いろーんな種類のゼラニウム、ミント、セージなどがあり、それぞれの香りを嗅ぎ分けることができるんです!
香りを嗅いで欲しいから、触ってもちぎってもOK!
五感を使って身近な植物を学ぶことができる場所です。
ココナツの香りのゼラニウム、ローズの香りのゼラニウム、普通のセージ、パイナップルの香りのセージなどなど、嗅ぎ分けが楽しい♡
「レモンの香りがするハーブ」がまとめて植えられていたりします。レモングラスやヴェルベーヌ、レモン・ティートゥリーなどがあって、ここでも学名が役に立ちました。
結構ちぎられていて葉っぱの原型をとどめないものなんかもあったのですが、芳香植物の醍醐味は見て、触って、香りを嗅ぐこと。
それがOKされている場所は植物園では珍しいのでは?
アロマやフィトを学んでいる方は、ぜひぜひここはお見逃しなく!
ということで、牧野植物園ではいろんな側面から植物を学ぶことができて、どんな人でも楽しめると思います。
2日間、じーっくり楽しんだのですが、それでも違う季節に行って別の姿を見たいなーなんて思いました。
高知県、お住まいの場所によっては遠いかもしれませんが、本当によいところでした。ぜひ高知に行かれる方は、バスで気軽に行ける牧野植物園に行ってみてくださいね♪
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