あなたはパリ旅行で、どこの美術館にいきますか?
パリといえばルーヴル美術館とオルセー美術館。
ポンピドゥーセンターに行く人は、かなりの近・現代美術ファンだと思われます。
でも、パリ旅行が決まっている人は、今こそ、ぜひ行ってみてください!
このニュースを聞いてから、私もさらに足繁く通っています!
お見逃しなくー!
ポンピドゥーセンターってなあに?
パリの真ん中、3区レ・アール地区にあるよ
ポンピドゥーセンターは、パリ右岸(セーヌをはさんで北を右岸といいます)3区のレ・アール地区にあります。
メトロのレ・アールの駅ビルはショッピングセンターになっていますし、東へ行けばおしゃれなマレ地区もすぐそば。
ルーヴル美術館からも歩ける場所です。
ただ、ルーヴル美術館とはしごするには、両方とも規模が大きすぎて1日で回るのはちょっと大変かも。
何がみられるの?
【ポンピドゥーセンター】というのは実は6階建の建物の総称。
正式名称はジョルジュ・ポンピドゥー芸術文化センターです。
この中に、国立近代美術館と、公立図書館と、音響音楽研究所などが入っています。
多くの人は(特に観光客)ポンピドゥーセンターといえば、4-6階に位置するフランス国立近代美術館のことを言っていますね。
国立近代美術館のお話、あとでもっと詳しくしていきますよ。
ここはいろーいろな過ごし方ができる場所。
エントランスホールのミュージアムショップ&ライブラリー、中二階のカフェと子供のアトリエ、2-3階は図書館、6階にはレストランと無料で楽しめる場所もあるんですよ。
歴史を教えて!
フランス人はBeaubourg(ボブール)と呼んだりします。
それは、ここがボブールという区域だから。
19世紀には商業地区として栄えてたのですが、道が狭く入り組んでいて不衛生になってしまい、第一次大戦後建物を一掃したんだそうです。
でも、その空き地をどうするわけでもなく、放ったらかし。
お隣のレ・アールに中央市場があったので、その駐車場みたいに使われていたんですって!もったいない!
1969年に当時の大統領ジョルジュ・ポンピドゥーがこの空き地をすごい文化センターにしよう!と宣言、建設を開始し、1977年に開館しました。
変わった建物だよね?
国際コンペを経てレンゾ・ピアノとリチャード・ロジャース、ジャンフランコ・フランキーニ3名のプロジェクトが採択され、この建物になりました。
カラフルで大胆な建築が歴史あるパリの風景とそぐわない!
と反対意見も非常に多かったのですが、破壊と創造はパリの得意技。
今でもかなり異質な建築ですが、半世紀たち、それもパリの風景として馴染んでいると思います。
ちなみに、いろいろな色のダクトがあるのですが
青 空気調整のダクト
緑 水道管
黄 電気回路
赤 エスカレーター&エレベーター
と機能別に色分けされているんですよ!
建物内部も大きな柱があまりなく、展示空間を自由自在に作れる、当時としては最新の画期的な建物だったんです。
フランス国家が持っているコレクションについて
ルーヴル美術館、オルセー美術館、ポンピドゥーがパリの三大美術館と呼ばれています。
この3つの美術館の役割、知っていますか?
フランスが買い上げたアート作品、どんなふうに収蔵されているのでしょうか。
ルーヴル美術館は昔の作品(1848年まで)
オルセー美術館は印象派の作品(1848年から1914年まで)
ポンピドゥーは20世紀からの作品(1914年から)
という位置づけです。制作年で収蔵されているんですよね。
なので、その間に活躍した画家(例えばドラクロワなど)は、ルーヴルとオルセー、オルセーとポンピドゥーの2つの美術館で見ることができます!
フランス国立近代美術館の見どころ
見どころは作品 景観 ミュージアムショップです
まず作品
ここの所蔵作品は20世紀美術の歴史そのもの。
もし、世界の近現代美術を知りたかったら、王道中の王道はここにくればだいたい網羅できちゃうんです。
有名どころをあげてみますと
パヴロ・ピカソ ワシリー・カンディンスキー ピエト・モンドリアン アンリ・マチス
マルク・シャガール マルセル・デュシャン アルベルト・ジャコメッティ
コンスタンティン・ブランクーシ ジャクソン・ポロック ヨーゼフ・ボイス イヴ・クライン
アンディ・ウォーホル などなど
知っているアーティストはいましたか?
だいたい年代順に見ることができるので、美術史の変遷をたどることができます。
常設展示はちょこちょこ展示替えをしていますが、有名な作品が1つもなかった!なんてことはないくらい、コレクションは充実しているので大丈夫!
そして6階と中2階も企画展示室になっていて、現代美術の「これはぜひチェックして!」というホットな展示が観られます。
こっちもオススメ。
ちなみに現代美術でいうと、新しい技術のアート作品が出ればポンピドゥーはいち早く購入する先見の明があるんですよ。
最近では2023年2月にNFTアートを買い上げたのが大きなニュースになりました。
もっと詳しく知りたい方は、アート系のウェブマガジンArtscapeで私が書いた記事読んでみてください(堅めの文章です)。
美術館は美術史を作り上げていく役割があるのですが、まさに現在進行形で美術史を編んでいるところですね。
ヴィデオアート、メディアアートなどの映像系作品のコレクションもかなり充実していますので、お好きな方はぜひ!
そして景観
ポンピドゥーセンターは外側にチューブ型のエスカレーターがついています。
鉄筋とガラスのチューブを上っていくと、だんだんパリの景観が見えてくるんですよね!
エッフェル塔、ラ・デファンス、サクレ・クール寺院のパノラマビューは圧巻!
ちょっと近未来的なチューブからパっと現れるパリの景色、本当に美しいです♡
サクレクール寺院やエッフェル塔(トロカデロ)などパリの景観が楽しめるスポットはありますが、多分一番空いています!
一応施設内なので、外よりもスリの心配も少ないです(でも気をつけてくださいね!)
ちなみに、もっとレトロフューチャーなレストラン&カフェも6階にあり、ここからお茶を飲みながらの景色も最高!
ここは、90年代にもっともお洒落だったカフェ経営のグループの系列で、顔で採用したと思われる美男美女がサーヴしてくれます。
個人的な意見ですが、ちょっともう時代にそぐわないなーという内装とメニューな気がします。
世界の美術館内のカフェ・レストランの流れから置いていかれた感じ。
もちろん工事が終わった2030年には最新のものに変わると思うので、むしろここは「90年代」な懐かしさを楽しんでいただければと思います(個人的意見です)。
基本的に夜も21時まで開館していて、外観のライトアップも素敵なんですよ。夜に近くに来ることがあったらぜひ♡
ここもチェック!ミュージアムショップ
私、昔からミュージアムショップが好き♡
作品にまつわる雑貨って特別感が感じられて、お土産に結構買ってしまうのです。
ポンピドゥーはデザイン系のグッズ、食器類なども多く、いつも買おうか買うまいか迷ってしまいます。
あと、子ども用のアート本もおすすめ。
芸術の国フランスがどんなふうに子どもにアート教育をしているのか、これは私が学生のときから興味があったこと。
小難しい美術史などを教えるわけではなく、自然とアートを身近に感じられるようにアプローチしているんですね。
本もお勉強的なことばかりではなく、こどもの目線で何が面白いと思うのか、作品をどう「自分の興味」に落とし込んでいくのかなどのしかけがたくさんあります。
フランス語がわからなくても、楽しめるかわいい本がいっぱいありますよ!
Tomomiとポンピドゥー
超個人的な話をここで。
私のポンピドゥー歴は長く、かれこれ25年くらいになるかなあ。
美大生のときに、毎年春休みにパリやロンドンに母と旅行していたのです。
美術館めぐりの旅。
現代美術が大好きだったので、ポンピドゥーももちろん何度も行きました。
私のフランス行きを決定づけた本が『ポンピドゥー・センター物語』(岡部あおみ著)です。
ポンピドゥーができた時に学芸員として勤務して、パリにおける日本現代美術の歴史的な展覧会をキュレーションした日本人女性のお話。
何度も読んで「渡仏したらこうなる!」ってバイブルにしていました。(夢は叶わずでしたが)
渡仏して、夢がいっぱい詰まったポンピドゥーに入り浸ることになるのです。
当時、学生価格で年間パスポートが20ユーロでした(2500円しなかった)!2500円で1年間見放題!
作品を観るのはもちろん、アートイベントも図書館も、カフェも行きまくっていましたね。
友人との待ち合わせは、なにかとポンピドゥーだったんですね。
美術史の本で仕入れた知識だけじゃなく、目の前で本物を観られることは本当に素晴らしい経験です。
印刷じゃない本当の色、印刷じゃ潰れてしまう筆致やマチエール、アーティストの息吹が感じられるのです。
近・現代美術って「なんでまたこんな作品を…」と度肝を抜かれるものが多く、いつも刺激をもらっています。
どんなに知識があっても「そんなの役に立たないよー」と、わけのわからない作品に挑発される感じで、私のインスピレーションの泉です。
また今、年間パスポートを購入して、いつでも行ける状態にしました♡
もう学生じゃないけど、2年間パスで76ユーロ!(それでもお安い)
列に並ぶことなく、スイスイと好きなときにプラっとポンピドゥーを満喫しています。
1回のチケットはだいたい15ユーロ。1年パスは49ユーロ。
そんな矢先の5年間の閉館ニュース
閉館する25年までは、もっと足繁く通って、ポンピドゥーをまるごと感じたい!
閉館中は作品が世界中に貸し出されるので、日本でもレアな作品が観られると思います。
嬉しいニュースとしては、ポンピドゥーの収蔵品の一部をパリ郊外に移して、新しい近現代美術館がオープンします。
ピカソ美術館と協業なので、ピカソの作品もいっぱい観られそうですね!
パリのポンピドゥーがお休みする5年間、パリ郊外、メッツ、マラガに行くことがあったらぜひ分館もチェックしてみてくださいね!
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