こんにちは。フランス在住アロマトローグ・自然療法士のTomomiです。
【アロマでしごと】シリーズ、「マインド」など大枠でのお話が多かったですが、今日はすごく細かいこと。
でもとーーーーっても大事なことをお伝えします。
セラピストを除いて、アロマテラピーを教える、ワークショップをやる、これがほとんどの人の【アロマでしごと】内容かと思います。
多くの方がアロマの何かを教えてらっしゃる経験をお持ちなのでは?
そして、そのレッスンやワークショップで「アロマクラフト」を作ってらっしゃる方、多いと思います。
アロマクラフトとは、精油を使った手作りのアイテムですね。
香水やマッサージオイル、リップバームなどなど、いろいろなものがあるかと思います。
手作りコスメのアイテムもここに入ります。
アロマクラフト、どこで学びましたか?
アロマの先生からレッスン内でレシピをもらい、それをそのまま再現しているだけでしょうか?
今日はこのアロマクラフトの落とし穴について、お話ししていきますね。
フランス流手作りコスメは本格的
私は2014年から手作りコスメの教室をやっています。
最初に手作りをしたのは多分2006年くらいかな。
当時は自己流で本を読みながら、みつろうリップとか石鹸とかをつくっていました。
その後、コスメトロジーをスクールで学びます。
その先生はコスメ会社の処方をしてきた化学者で、当時オーガニックコスメブランドのアドバイザーをしていました。
レシピどおりに作るレッスンではなくて、レシピを自分でつくるための基礎知識を学ぶ授業でした。
これからコスメブランドを立ち上げたい!手づくりコスメのお教室をやりたい!という人向けのプロフェッショナルなコース。
おかげさまで私は自分でレシピがゼロから作れます。
最近では、コスメ会社さんから「自然由来のコスメを作りたい」というご希望を受けてアドバイザーのお仕事もさせていただいております。
10月から手作りコスメ教室をするにあたって、過去のレシピをアレンジして(材料を買っていた会社の処方も変わったりするので)新しく作り直しました。
何回か試作をして、安心で効果的な手作りコスメをご提供しているんですよ。
日本のアロマクラフト、それでいいの?
さてさて。数年ぶりのお教室をやるにあたり、リサーチしてみました。
インスタでも手作りコスメを投稿している方がたくさんいらっしゃるんですね!
精油をつかった簡単なものから、コスメと呼べるレベルのものまでいろいろ。
ハッシュタグ検索で30投稿ほど見たのですが、衝撃の事実が判明!
ストーリーで私も質問してみましたが、やっぱりびっくりしました!
みんな、防腐剤、酸化防止剤を入れていない!!!
ちょっとこれ、マズいと思います。
クリスティーヌ先生が授業で口をすーーーーーーーーっぱくして言っていたので、私は絶対に入れます。
というか、フランスで手作りコスメが流行っていますが、どのレシピにも必ず入っています。
日本ではどうして入れないの???
自然派コスメなのに、どうして防腐剤や酸化防止剤を入れなきゃいけないの?
「防腐剤配合」「酸化防止剤配合」っていうと、手作りコスメを好んでやってらっしゃる自然派の方には抵抗があるのだと思います。
防腐剤や酸化防止剤が悪いものだという誤解があるんですよね。
でもね、入れないことによってもっとよくない結果になっているんですよ。
入れないとどうなるか?
腐るというのは、雑菌が繁殖するんですよね。
雑菌だらけの酸化したコスメをお肌に塗っているということになります。
酸化したものを使うと、炎症やシミなどトラブルの原因になります。
そんな手作りコスメ、使いたいですか?
入れないのは、お肌に悪い!!このひとことにつきます。
一生懸命材料を揃えて時間をかけて作った「防腐剤・酸化防止剤フリー」のコスメが、雑菌だらけでお肌のコンディションを悪化させるものになっているとは!!ご存知でしたか?
じゃ、どうすればいいの?
簡単なことです。
私が使っている防腐剤、酸化防止剤は天然素材から作られたものが多いです。
だから自然派の方でも安心して配合できますよ。
合成ではなくて自然なものから作られている防腐剤・酸化防止剤を使ってもなお、防腐剤や酸化防止剤入れるのはイヤですか?
実はコスメの原料をすべてオーガニック、すべて自然由来にすることは難しいです(コスメのオーガニック認証の基準を見れば明らか)。
だから多少化学合成物質を入れるのはプロの世界では当たり前なのです。
私が使っている防腐剤は2種類あって、ひとつは化学合成物質、もうひとつは自然由来です。
どっちを選ぶかは、他の材料との兼ね合いや、量など総合的に判断します。
クリスティーヌ先生も、私が使っている化学合成防腐剤がいちばん防腐効果があるとおっしゃっていました。
入れるのは少量ですから、「絶対自然!」というこだわりを捨てるのも大事かなと思います。
自然にこだわるあまり、雑菌だらけでは意味がないですから。
天然・合成どちらでもいいので、必ず入れるべき!
入れなかったら1週間ももたないんじゃないかなー(配合した材料によりますが)。
酸化防止剤はオイルを入れる場合には必須ですよね。
今、お肌にいい、老化防止、シミ対策などの効能が素晴らしいオイルが流行っています。
市販のオーガニックコスメにもバンバン使っているんですよね。
でも、市販のコスメなのに製造元が表示している使用期限の前に酸化している例もありました。(コレ、行政から指導が入ってもおかしくありません!)
原材料を見れば明らか。
酸化しやすいオイルなのに、酸化防止剤が足りないからです。
というか、どのオイルでも酸化防止剤を入れないと早かれ遅かれ酸化しますよ。
どのオイルを選ぶか、というのもとても重要な選択ですよね。
酸化防止剤も自然由来のものがあるので、それを使えばいいかと思います。
もちろん【適切な量】入れてくださいね。
どれをどれくらいの配合で、というのは、それぞれの防腐剤・酸化防止剤で指定されているので、メーカーの指示通りに作ってください。
例えばその防腐剤が全体量の2%と指定されていれば、100mlのものをつくるのに2ml入れればいい。簡単ですね。
これはメーカーによって違うので、私がここでいうことができません。
手作りコスメのデメリットを潰そう!
市販のコスメに入っている**成分が危険!
というのはよく聞きます。
でもね、それよりももっと基本的なことを思い出して欲しいんです。
市販のコスメを作っている場所は、衛生管理が行き届いたクリーンな場所です。
そうじゃない例もあったので全てではないかもしれませんが、処方はすべて、使用期限までは腐らないように、酸化しないように作られています。
アレルギーテストも、雑菌の繁殖のテストもしているはず。
一方、手作りコスメはご家庭のキッチンで作ります。
衛生管理ははるかに化粧品製造のラボに劣りますよね。
なのに、【防腐剤も酸化防止剤も入れない】のがマズいのはわかりますか?
ぜひぜひ、「キッチンで作るコスメ」であることを前提に、できるかぎり危険を回避して欲しいと思います。
他に気をつけることは?
多分、多くの人がやっていないと思いますが、オリジナルレシピの場合、完成品のpH値も調べておくといいです。
誰かのレシピでも念のためにやっておいた方がいいと思いますよ。
材料によって、配合によって、お肌に負担がかかるものになってしまうことがありますから。
フランスの学校では、本当にいろいろなことを学びました。
実際に「コスメブランドを作りたい!」という方が生徒さんだったので、本格的。
お肌のこと、原料のこと、処方のこと、コスメの法規や安全管理もすべて学びました。
今、コスメのアドバイザーの仕事もすることがあるのですが、このとき学んだことがとても役立っています。
手作りコスメはすっごい楽しいです
気分やお肌のコンディションによって材料を変えたり、いろんなテクスチャーで作れたりするので、お手入れの時間がワクワクします。私は大好き♡
だから、手作りコスメ、オススメします!
ただ、そのレシピに防腐剤と酸化防止剤などが入っていなかったら、ちょっと考えた方がいいですよ。
冷蔵庫保存にしても1週間ももたないと思います。
今使う1回限りのコスメならOKですが、3週間分くらいつくるのなら、「必ず」入れてくださいね!
何度も繰り返しますが、自然由来の防腐剤・酸化防止剤があるので気になる人はそれを使ってください。
アレンジをしたいなら自分でレシピを作れるようになった方が安心です。
既存のレシピの材料をちょっと変えただけで、pH値が変わってしまったり、クリーム状にならなかったり、いろいろ問題が起きるのです。
ぜひコスメトロジーをお勉強してくださいね♡
アロマクラフト、手作りコスメを教えるなら
手作りコスメと市販のコスメ、感覚的に【お母さんのお料理】と【レストランのお料理】の違いくらいに思っている方が多いかもしれません。
でも、私の考えではもうちょっとギャップがあります。
市販のコスメが【レストランのお料理】だとすると、アロマクラフト・手作りコスメは【お母さんのお料理】レベルになっている人は、私が見る限りすごく少ない。
【お料理を知らない人が作った美味しくないお料理】の人が大半です(失礼なことを言ってごめんなさい。)
仕方なく食べるけど、マズかったよね、お腹壊したよね、というレベル。
生徒さんに教えるということは、【お母さんのお料理】へのレベルアップが必要。
それにはきちんと化学を知る必要があります。
知っておくべきことをリストにしておきますね。
精油、植物オイル、芳香蒸留水、乳化剤、増粘剤、界面活性剤、有効成分、防腐剤、酸化防止剤のキャラクター
皮膚の解剖生理学
処方の化学
コスメの法規
コスメのオーガニック認証
その上で、試作をしまくってください。
生徒さんが「作れないで帰る」ことが絶対にないよう、失敗しかけたものをリカバリーするのも先生の仕事です。
ぜひ、先生として自信をもってアロマクラフト・手作りコスメを教えていただきたいと思います♡