こんにちは。フランス在住アロマコローグのTomomiです。
香水のことをあまり知らなくても、「シャネルの5番」を聞いたことも見たこともない人は少ないと思います。
なんでも、「30秒に1本」世界のどこかで売れていると言われているんです!
あなたは1年で何本の香水を買いますか?
香水は消耗品だとはいえ、1年に2本も3本も買う人はあまりいないですよね。しかも同じ香水を!
今日はこの世界で最も愛されている香水のヒミツを解き明かしたいと思います。
ファッションブランドの香水
シャネル No.5は、香水の頂点に君臨する存在と言っても過言ではありません。
とはいえ、シャネルというブランドは香水のメゾンではありません。モードのメゾンですよね。
なぜお洋服のブランドが香水を作るに至ったのでしょうか?
実は、お洋服のブランドが香水を手がけるようになったのはポール・ポワレが初。
シャネルもこの流行に乗って、香水を発売したいと思ったのでしょうね。
誰が作ったの?
ココ・シャネルはお洋服のデザイナーであって、調香師ではありません。
当然ながら、モードのメゾンから発売される香水はどれも「調香師に依頼」して作られたものです。
その調香師の名前はエルネスト・ボー。
ロシア生まれのフランス人である彼は、ロシアの化粧品製造の企業で調香の仕事をしていましたが、ロシア革命の混乱で、故国フランスにやってきます。
「香水を作りたい!」というココ・シャネルの望みをかなえるべく、当時のロシア人の彼氏が紹介してくれたのがエルネスト・ボーでした。
数字の魔法: No.5の不思議
香水には必ず「名前」がついています。しかも結構ポエティックな名前が。
でも、「No,5」って香水にしては風変わりですし、まったく詩的ではありません。
なぜこんな「フツー」の数字が、世界で愛される香水なのでしょうか?
エルネスト・ボーがサンプルをココ・シャネルに提出したときのエピソードにヒントが隠されています。
ボーは通常通りサンプルに1番から数字をつけていました。
ココ・シャネルは
「5月5日に自身5度目のコレクションがおこなわれる」ことや
「5という数字は私にとって好運をもたらすような気がするから」と
この香水をN°5と名づけたのです。
ココ・シャネルは幼少期に孤児院に預けられていました。
その教会ではいたるところに「5」という数字があったそうなんです。
数秘と言わなくても、ヨーロッパの人は意外と数字の意味を知っていて、彼女にとっても数字は数字以上の意味があり、さらに彼女のラッキーナンバーだったんでしょうね。
ボーの真骨頂
とはいえ、ラッキーナンバーの5番だったらどんな香りでもよかった、というのはさすがにないですよね。
もちろん、サンプルのすべてを嗅いだ上で、彼女は5番目を選んでいるはずです。
このNo,5の香りは、メイ ローズとグラースのジャスミンを中心に構成されたこのフローラル ブーケの香りで、柑橘系のトップノートで明るさをもたらしています。
バニラの柔らかなタッチとパウダリーな香りが官能的な印象を付け加えているのです。
すでに合成香料を使った香水はたくさん世に出ていましたが、ボーはロシア時代に務めていた会社で、まさにアルデヒド香料の研究・制作をしてたんですね。
アルデヒトの専門家である調香師だからこそ、大胆にこの香水に取り入れることができたのです!
長時間のパーティーでも香りが長続きし、リッチなフローラルと官能的なバニラのハーモニーが、1920年代の自立した女性にマッチしたのです!
新しい時代の女性のための香水
バカラやラリックの美しい造形の香水瓶が流行っていた中、シャネルの5番は、今とほぼ同じデザインの瓶に詰められています。
恋人がお気に入りだったウィスキーの角瓶にインスパイアされたとも言われていますが、シンプルな瓶にダイアモンドのように美しい直線でカットされた蓋がついています。
これも、新しい時代の息吹を感じながらも、飽きのこないロングセラーのひみつなのかもしれませんね。
珍しくて力強い「女性の香りを持った女性の香水」を作るよう依頼した、ココ・シャネルが満足する香りとパッケージが21世紀になっても女性のこころをつかんではなさないのです。
最後に、シャネルの5番を愛でた有名人を
この香水の特別な存在感を象徴していますよね。
他に、カトリーヌ・ドヌーヴ、セリーヌ・ディオン、クローディア・シファー、マリア・カラス、ニコール・キッドマンもNo,5の大ファンとのことです。
この香りが気になった方は、ぜひデパートなどの行ってNo,5の香りを嗅いでみてくださいね!