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香りの雑学 歴史的香水『Mitsouko』Guerlain

こんにちは。フランス在住アロマコローグのTomomiです。

香りの雑学 歴史的香水シリーズ、今回は『Mitsouko』です!

この香水をご存知の方はかなりの香水マニアかと。

でも香水の歴史を語るなら外せない、とても有名な香水なんですよ。

目次

Mitsouko(ミツコ): 日本女性の物語

ミツコ。このブログの読者の中に同じ名前の方もいらっしゃるかも。

フランスで作られた香水に日本の女性の名前がついているなんて、ちょっと気になりませんか?

この香水は、フランスの作家クロード・ファレルの小説『ラ・バタイユ』のヒロイン名から名づけられました。

1909年に出版され、第2次大戦前にフランス映画として2回、アメリカ映画として1回も映画化されているんです。

それだけ有名な小説なんですね(私は知りませんでした!)。

どんなストーリーかというと、日露戦争の時代の話だそうです。

裕福なアメリカ人女性とヨットで旅するのが主人公の画家。

長崎に寄港した際、彼はヨーロッパ式の生活をしている侯爵の若い妻ミツコの肖像画を描くことになります。

一方、別の登場人物である日本海軍将校の子爵は日本式の生活をしています。

伝統と現代性、日本の忠実さ、西洋を受け入れる必要性のはざまで揺れ動く中、日露戦争が勃発する、という話だそうです。

海軍将校の夫に忠誠を誓いながらも敵国の将校に惹かれるミツコが最終的にどちらを選ぶのか?

ちょっと読みたくなってきました!気になる方はぜひお読みくださいね♡

ミツコと香水の関係は?

小説のヒロインの日本人女性がなぜ香水になったのか?気になりますよね。

この香水は調香師ジャック・ゲランが1919年に発表した作品です。

彼は作家クロード・ファレルと仲良しだったんですね。

友人関係にあり、さらに映画化された有名小説だから話題性もありました。

でも純粋に、ジャック・ゲランが当時はフランスにまだあまりいなかったであろう日本人女性の(小説で描かれた)姿に惹かれて、作品にしたのだと思います。

どんな香りなの?

調香師のジャック・ゲランは、小説のヒロインにインスパイアされて微かにアンドロジナス的でありながらも狂おしいほどに女性的なシプレーのフレグランスを生み出しました。

フレグランスに卓越した現代性を与えるため、ジャック・ゲランはピーチのまろやかなでスパイシーなフルーティさとパチュリのウッディな香りを世界で初めて組み合わせました。

禁断の果実の味との大胆な組み合わせによって、革新的でアヴァンギャルドなフレグランスの〈ミツコ〉は、あえてマスキュリンな側面を垣間見せる、強い女性らしさのシンボルとなりました。

ゲランのホームページより

前回お話しした「シプレ」が使われていますね。

1917年にコティが作った香水「シプレ」は、柑橘&花&オークモスが特徴の画期的な香りで、「シプレノート」という系統を作りました。

そのシプレはたくさんの香水をその後生み出していますが、最も近い愛弟子にあたるのが「Mitsouko」なんです。

2年後の発表なので、弟子というよりもほとんどライバルにあたる関係といえるかもしれません。

そのシプレにピーチのフルーティな香りと、ジャスミンとローズ、パチュリやベチバーの香りを組み合わせたところが、とても革新的だったんですね。

ここで一気に「現代香水」の扉が開いたという専門家もいるんですよ!

伝説的なボトルも見逃さないで!

今、ゲランではレジェンダリー フレグランスとして、このメゾンが生み出してきた傑作を販売しています。(おそらく当時と同じレシピの再現が無理なものもあるので、「再販」「再解釈」という位置づけなはず)

ゲランは2世紀で1100もの香水を創造したんだそうですよ!

このレジェンダリー フレグランスのボトルが「Mitsouko」のオリジナルボトルを参考にして作られているのです。

「逆さハート」と呼ばれているもので、アールヌーヴォーらしい優美な渦巻き模様がボトルの美しさを引き立てます。
ハート型のキャップは、ミツコの繊細なロマンチシズムを象徴し、当時の技術の粋を表していますね。

Mitsoukoのなにが新しかったの?

この香水はシプレ調なのですが、先ほどお伝えした通りピーチをあしらったのが革新的でした。

私たちにはピーチに香りますが、実際にはウンデカラクトン(またはアルデヒドC14)という合成の香料を大量に使っているんですね。

フルーツの香りを大胆にシプレと組み合わせるのは、ジャック・ゲランの飛び抜けた才能と創造力の証です。

ジャック・ゲランが日本人女性のミツコにどのようなイメージを描いていたか、これが香りのヒントになると思います。

きっと優しさがありながらもミステリアスで意志の強いモダンな女性、なんじゃないかなーと私は思います。

というのは、それまでの香水は繊細な花の香り、優美さなどが特徴的だったのですが、Mitsoukoはヨーロッパの従来の香水とは違い、少し男性的な、大胆で物怖じしない芯のある都会女性のようなイメージを表現しているんです。

コティのシプレもそうだったのですが、それをさらにフルーツの香りというユニークさを実現し、歴史に残る特別な香りへと昇華させたんですね。

フランスでは印象派の時代から現代にいたるまで、日本への憧れが強い国だと思います。

戦前、1920年代の女性の自由と解放の時代感というのを、異国情緒あふれる日本女性のネーミングで発表したところが誇らしいですね。

アジアの美しさとフレグランスの新しい次元をヨーロッパに象徴的に示したのが「Mitsouko」だと言えます。

余談ですが、イングリット・バーグマン、チャーリー・チャップリンもこの香水のファンだったそうですよ!

今でもゲランのショップに行けば「Mitsouko」を嗅ぐことができますので、ぜひこの香りを味わってみてくださいね♡

Tomomi
アロマトローグ・自然療法士
2002年よりフランス在住
フランス人の自由きままでストレスの少ない生き方が心地よく、気づいたら20年以上住んでいます
アロマテラピー発祥の地、アートの都からフランス女性のような【凛としたオトナ】になるためのétudeをオンラインスクールでお伝えしています!

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