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香りの展覧会 中東の香り

こんにちは。フランス在住アロマコローグのTomomiです。

中東の香り文化、ご存知でしょうか?

私自身、中東と言われる国々にはまだ行ったことがありません。

でも、フランスは実はイスラム教徒が多い国で(人口の3分の1とも言われています!)パリでも気軽に中東の食べ物や文化を味わうことができるんです。

私はスパイスも大好きで、パリのスパイス料理のお店を開拓したり、自分でもよく作ったりしています。

中東文化、興味津々!

目次

アラブ研究所の「中東の香りParfum d’Orient展」行ってきた!

香りの歴史を紐解くと、中東の国々を無視することはできません。

フランスの香りに関する展示や講演会などで断片的に得てきた中東の香り知識ですが、今回、しっかり、どっぷりと味わうことができました!

パリにあるアラブ研究所という文化センターで大々的に行われたのが「中東の香り Parfum d’Orient」展です。

香りの歴史的な知識だけでなく、現代の中東の香りに関するアート作品や、香りを体験できる装置など、どれをとっても楽しめる素晴らしい展示でした。

ここで初めて知ったこともあり、たくさんの資料を入手できたのでアロマコロジーのレッスンにどんどん取り入れていきたいと思っています。

中東の香りといえば

あなたの「中東の香り」はどんなイメージでしょうか?

具体的な原料でいえば、フランキンセンスやミルラが多いかな。

実際にフランキンセンスやミルラの植物はどこでも栽培可能というわけではなく、中東のオマーンやソマリアといった国の特産となっています。

最初の展示室では、「中東の香り」であるフランキンセンス、ミルラ、ムスク、アンバーグリス、ウード、サフラン、ローズ、オレンジフラワーなどの史料の展示とともに、実際に香りを嗅げる装置もありました。

次の展示室は、香りのインスタレーション。

暗い部屋に3つの水槽のような装置があり、中には(暗くてよくわからないのですが)植物が入っています。

そこを歩くと、芳しい香りが!

ナイト・ジャスミンと呼ばれる植物の香りで(ジャスミンとは全く違う植物)、アラブの庭園によく植えられているそうです。夜になるとこのような強く甘美な香りを放つんですね。

お次は「街の香り」。中東では化粧品の香り、治療の香り、祈りの香り、と街でさまざまな香りに出会うことができるのだそうです。

7枚の写真作品には、スーク(市場)のお店で売られている鮮やかな色の商品が並んでいます。

目を凝らすと、ガラスの瓶やテラコッタの容れ物の中にたくさんの「石」や「木」のようなものが!

こんなに必要?と思うくらいの大容量のフランキンセンスやミルラや香木がビニール袋で売られているんです!

友人がオマーンに行ったときに、スークで買ったというフランキンセンスをいただきました。とても大切に使っているのですが、こういう風に売っているんですね!

香りはどうやってできるの?

フランキンセンスやミルラなどは植物から直接採取した原型のまま売られていることがわかりました。

でも、私たちが知っている「香り」は精油や香水という液体ですよね。

香りの液体にするもの、それが「蒸留器」です。これ、中東世界で生まれたんですよ!

14世紀の書籍のページに描かれた蒸留器の挿絵。

これをもとに現代アーティストが再現した美しい蒸留器が展示されていました!これにはちょっと感動♡

香りと一口にいっても、さまざまな取り出し方(抽出法)があります。

水蒸気蒸留や図解パネルでの説明に鑑賞者は「なるほどー」と見入っていました。

そしてまた香りの装置。3つの香りが展示されています。

キフィとアンバームーンとシャーママ

アンバームーンとシャーママは調べてもよくわからなかったのですが、おそらく中東で有名な香りなのでは?

それぞれ一番重要なベースの香りバージョン、それにプラスαの香りを足したバージョン、もうひとつ足したバージョンと3段階の香りがかげて、どんどん香りがダイナミックに表現豊かになっていくのを体験できました。

街の展示室の次はハマムの展示室。そして祈りの展示室へと続くのは、こうやって神にお祈りをする前に街でからだを清める、という順番を再現しているんですね。

祈りの香り

古代エジプト時代から、香りは祈りのために使われてきました。

この展示室でも、さまざまな祈りのための香りアイテムが展示されています。

全体的に暗い展示室で、祈りの空間らしく突き当たりにはフランキンセンスの香りと煙のプロジェクションが演出されていました。

ルーヴル美術館から借りてきている浅浮き彫り彫刻も展示されていました。

過去にルーヴル美術館でアートと香りの専門家のツアーに参加したときに、紹介してもらった作品。

これは百合の花を収穫して、香りを取り出して、神に捧げるという3つのシーンを長方形の石に刻んだものです。

実はルーヴル美術館の古代エジプト彫刻で「きっと香りに関係することが描かれているんだろうなー」と思いつつもよくわからなかったことが、この展示で明らかになりました!!

頭の上に三角帽子を乗ってけている→香りを含ませた「脂肪」で、だんだんと溶けていくうちに香りが漂うのだそうです!

今考えるとちょっと嫌ですが(私はね)、そうやって香りをからだにまとっていたんですね!

料理の香り

最近、パリでは多国籍料理が流行っています!

パリはさまざまな国出身の人が多いので(純粋なフランス人なんて少ないと思います)ありとあらゆる国のレストランがあるんです。

私のお気に入りは中東料理。見たことも聞いたこともないスパイスが使われていて、嗅覚と味覚にいい刺激を与えてくれます。

この展示では、飲み物の香り(ミントティー、トルココーヒー、カルダモンコーヒー)、お菓子の香り(アーモンド、シナモン、オレンジフラワー)、お料理の香り(カルダモン、クミン、ターメリック)の香り装置で香りを嗅ぐことができました。

みんなクンクン嗅いでは香り当てをしていて楽しんでいましたよ!

あと、立ち入り禁止の展示室中央の床には幾何学模様の絨毯が敷かれています。

これ、スパイスで作られたもの。パレスチナの家によくあるセメントタイルの模様だそうです。

この模様に使われたスパイスはザーター、スマック、ターメリック、ジンジャー、ホワイトペッパー

よーくみるとつぶつぶしていて(床にただスパイスを置いただけで固定されていません)鑑賞者の動きで発生する風で一部線が乱れているところも!素敵なインスタレーションでした!

中東の香りは強烈!?

かいつまんで展示室を巡るように解説してみました。

展示の最後には官能的な香水をつけて帰ることができました。

手を入れるとアルコール消毒スプレーのように1滴香水が垂れます。手のひらで受け止めてしまったのですが、香水ならば手の甲や腕の内側でしたよね。

想像通り、とても強烈な重く甘ったるい香りで私にはちょっとヘビーでした。

ダマスクローズ、ウード、アンバーグリス、ムスク、サフラン、フランキンセンスと、中東の香りをギュッと凝縮した香水なのだから、当たり前ですよね。

なのに、アルコール消毒みたいに両手に広げてしまったものだから、帰りのメトロでもすごい香りがプンプン!

ちなみにアラブの国の大学に通っていた人の話では、あちらでは全身に香水をつけるのだそうです。

人によっては足にはこれ、手にはこれ、と違う香りをつける人も!

中東に行ったことがないのでわからないのですが、気候の問題なのか、それとも日常的に食べているものの問題なのか、それくらい香りをまとうのが普通なのだそうです。こればかりは行ってみないと確かめられませんよね!

個人的に気に入った点

私は美大の美術史専攻で学芸員資格も一応持っているので、展示はついつい「展示方法」もみてしまいます。

こういう展覧会の場合、歴史的資料の展示だけだと「お勉強」的要素が強く楽しめません。

フランスは学芸員さんがきちんと学芸員の仕事に集中することができて(日本は予算的にいろいろな雑務もしなくてはならないのです)「展示」もすごく凝っています。さすが、と思わざるを得ない。

今回はアート展示ではなくて「香り」の展覧会。

でも、「香り」「歴史」「アート」がバランスよく含まれていて、香りを体験しながら、きちんとした歴史で確認できつつ、現代の中東のアーティストがそれをどのように継承しているのかという現代・未来的視点まで見ることができました!

「香り」に関しては、香料会社とその調香師全面バックアップのもと、鑑賞者が楽しめる香り装置がたくさんありました。

ボタンを押すと香りを嗅ぐことができるという単純に見えるものですが、同じ装置から複数の香りが出てきても混じることがなく、どの装置もすべて同じ形じゃなくて展示に合わせて変化させてありました。

鑑賞者としては「こういうもの」として何も感動はないかもしれませんが、これを実現するには学芸員さんと調香師さんが展示の初期から一緒に作り上げないと難しいのかな、と。

両者は全然違う分野に所属しているので接点はありませんが、だからこそ大変だったんじゃないかなと想像します。

とてもいい展覧会だったので、世界中に巡回したらいいのになーと思います。日本だったらどこでできそうですかね。

Tomomi
アロマトローグ・自然療法士
2002年よりフランス在住
フランス人の自由きままでストレスの少ない生き方が心地よく、気づいたら20年以上住んでいます
アロマテラピー発祥の地、アートの都からフランス女性のような【凛としたオトナ】になるためのétudeをオンラインスクールでお伝えしています!

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